【団塊ひとり】陸山会事件公判 小沢記者会見 小沢一郎とアル・カポネ

 団塊の世代である私には懐かしいTV映画がたくさんある。それも多くはアメリカ映画だ。「ララミー牧場」「スーパーマン」「ヘッケルとジャッケル」「ローハイド」「コンバット」そして「アンタッチャブル」。いま小沢一郎氏の行動や言動を見て、私はなぜか1960年代に夢中になっていたTV映画「アンタッチャブル」に登場する暗黒街のボス、アル・カポネを思い出した。

 アルカポネは有名な「聖バレンタインデーの虐殺」(1929年2月14日)をはじめ、多くの殺人を命令して勢力を拡大していった暗黒街の親分である。しかし自分は直接手を下さないので警察も逮捕することが出来ない。またカポネは大量の金と恐喝で、政治家、警察などの官憲を買収していた。部下たちも、自供すれば自分の生命はもちろん家族の生命も危険なので、警察には協力しない。こうして子分は逮捕されても、カポネは逮捕から逃れていた。そのカポネの逮捕に成功したのが、映画「アンタッチャブル」の主人公エリオット・ネスだった。容疑はなんと「脱税」である。しかも刑期は予想を裏切る11年という長さ。たしかTV映画の初回は、カポネの裁判から始まっていたと記憶している。

 強引かも知れないが、私は小沢氏の言動にこのカポネの影を見てしまう。小沢氏は検察が自分をねらい打ちしている、民主主義の危機だ、暗黒裁判だ、即刻中止と言うが、私個人の印象では検察がかつて「無罪」を言い渡したことこそ、そこに政治的な圧力があったように感じられてならない。事実、民主党政権尖閣諸島すなわち日本国の領海を侵犯し、海上保安庁の艦船に危険な違法行為をした「犯罪容疑者」を解放させている。一地方検察が国権に関わることを、自分たちだけで決めるはずがない。やはり官邸からの何らかの圧力があったと考えるのが自然ではないか。

 「個人」の目線で考えれば、4億円の原資の出所について、明確な証明をせずにひたすら無実を主張する小沢氏の言動には、納得できないことが多い。それほど清廉潔白なら国会で証言して、証拠を提出して「はい、これまでよ」と無罪を主張すればよい。納得できる証拠があれば国民も小沢氏を支持するはずだ。しかし、そんな簡単な事を拒否し、民主党も小沢氏を喚問することは考えてはいない。やはり、変だ、得心できない。

 小沢氏や民主党は、多くの国民が抱いている不審に答える義務がある。国民の多くが望んでいるのは魔女裁判でもなく、暗黒裁判でもない。自分たちが「選んだ」政治家が、本当に信頼に値するか否かを確認したいだけである。だから検察審査員は「李下に冠をたださず」の気持ちで、疑惑の解明に取り組んでほしいと思う。
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【参考】小沢被告の記者会見での一問一答は次の通り。産経新聞より

 −−初公判を終えての心境と感想は

 「今回の捜査と検察審査会による強制起訴は全く不当だ。今日の裁判も早くやめるべきだ」

 −−議員辞職や離党については

 「私も秘書も有罪と認定されるようなことは何もしていない。何か違法なことをしたというなら、考える余地はあるが、何もしていないから、考えるつもりは全くない」

 −−司法とは別に国会で説明責任を果たす考えは

 「君はどう考えてるの? 公判が進んでいるとき、他の立法権や、その他のことをいろいろと議論すべきだと思ってんの、あんたは。あんたの見解は?」

 −−司法手続きは重要だが、国会での説明も重要だ

 「あっ、そうなの。じゃ、三権分立を君はどう考えているの? 裁判所は最終の法に基づき判断をする場所でしょ。それがいろいろな力や感情で、結果が左右されてはいけないから司法は独立しているわけでしょ。もうちょっと勉強してから質問をしてください」

 −−小沢元代表が用立てたとされる4億円の原資は何だったのか

 「原資は私のお金だ。詳しく聞きたければ検察に聞いてください。強制捜査を1年以上もやって、国会で説明する、君たちに説明するどころじゃないでしょう。私の知らないことまで全部調べているからお聞きください」

 −−メディアの世論とは正反対に司法のあり方を疑問視する声も多い

 「世論調査がまったくデタラメとは言わないが、必ずしも全国民の意見をまんべんなく代表しているとは思えない。何らやましいことはないので今後も頑張っていきたい」