【団塊ひとり】三菱重工へのサイバー攻撃 防衛産業狙った“戦争行為”だ(読売新聞)

事情があってしばらく休載していたブログの再開である。どうせ誰も見ないのだ、とひがんでいたわけでもない。単純に気力の衰えだ。

 それにしても民主党政権になってから、日本の周辺がどうもきな臭くなってきた。当然である。防衛大臣が自ら「私は素人で何も分からない」と言ったり、大臣が、いわゆる「仮想敵国」に近い国の人間から、怪しげな献金を受けたりしているのだから、相手が安心して「攻撃」を仕掛けるのも納得できる。

 その中で三菱重工に外国(中国?)からサイバー攻撃があったことをスクープした新聞社があった。読売新聞である。私の記憶では読売新聞は、海岸からアベックが忽然と姿を消したという形で拉致の存在にもっとも早く気づいた新聞社の一つである。また、北方領土近海で密漁黙認と交換に、旧ソビエトの日本に対する「スパイ活動」に協力した、いわゆる「レポ船」を特集したのも読売新聞だった。私の予想では読売新聞は、中国への企業進出とその後の発展と引き替えに、日本の機密情報を売り渡している疑いのある一部の企業の「犯罪行為」をスクープ出来る数少ない新聞社の一つでもある。

 読売新聞のスクープ以後、各新聞社もこの事件を報道しはじめたが、読売新聞の今日の社説の「見出し」ほど明確に問題の核心に迫った記事は少ない。「見出し」は「サイバー攻撃 防衛産業狙った“戦争行為”だ」となっている。サイバー攻撃を一種の「戦争行為」と「断定」するのは、世界では常識だが、ゆるゆるの日本の商業ジャーナリズムとしては思い切った書き方だと思う。

 しかし、肝心の社説の内容がいただけない。せっかく「三菱重工から相談を受けた警視庁は、スパイ事件の疑いがあるとみて捜査を始めた。攻撃者の特定に全力を挙げてもらいたい。今回の攻撃は海外から行われた可能性が高い。感染サーバーが中国や香港などのサイトに接続された記録があった。ウイルスの解析結果によると、攻撃者が操作する画面で中国語が使われていた。」と切り込んでいるのに、まとめは「警察庁と国内企業4000社は8月、サイバー攻撃に関する情報を共有するためのネットワークを発足させた。ウイルス対策に精通した人材の育成も含め、官民の協力を一層進めてほしい。」という、何とも迫力のない表現に終わっている。これも日本の商業ジャーナリズムの限界なのだろうか。私に言わせれば読売新聞
らしくない。この点産経新聞の主張の方がスパイ法の必要性をはっきりうたっていて、歯切れがよい。

 ここは、読売も「スパイ法の制定が急がれる」とでも打ち出してほしかった。民主党を中心に猛反対が起きるだろうが、それ故にこそ自己の意見を主張することが求められる。「三菱重工へのサイバー攻撃 防衛産業狙った“戦争行為”だ」と本当に思うのなら、長期的に、それなりの紙面展開をするべき時期に来ていると私は思う。古い表現だが国民を啓蒙することも新聞社の使命の一つであるはずだ。