【団塊ひとり】橋下市長の「慰安婦発言」は研究者・歴史家へバトンタッチの時期。

 橋下知事慰安婦発言の決着は、そろそろ冷静な研究者や歴史家に任せるべき時に来たようだ。攻撃者は橋下市長や日本の評価を落とすのが目的だ。言葉尻を捉えて攻撃する。いらつく質問をして政治家の失言を期待する。「真実」を報道することより、問題を拡大化させそのことにより部数を伸ばそうとする。それを意識しない政治家も多く簡単にメディアの餌食になっている。世界の政治家は本音と建て前を見事に使い分けて攻撃されることを避けようとするのに、日本の政治家の多くは思慮もなく不用意な発言(本音?)を繰り返し墓穴を掘る。相手の面子も平気で潰す。「ムラ」意識から抜け出ていないのだろう。新しい時代には不要な政治家だ。

 橋下「発言」があまりに政治的に取り扱われて本質から離れて始めている。が、橋下発言で初めてベトナムでの韓国軍の残虐行為を知った韓国の若者も多い。決して良策とは言えない「暴言」に見える発言も影響を及ぼし始めた。わたしはあえてこの点だけでも橋下市長の発言の役割は大きかったと支持したい。

 韓国やアメリカの若者も日本人以上に過去の自国軍隊の蛮行を知らない。が、良心的な作家や映画監督によって歴史の真実が描かれ始めている。スピルバーグの「プライベート・ライアン」やイーストウッドの「硫黄島からの手紙」では捕虜を殺害するアメリカ兵が描かれた。正義の権化と描かれたアメリカ兵、戦場での虐殺・捕虜虐待を描いてはいけないというアメリカのタブーが変化している。我々は生きるために他の生命の犠牲を必要とするように、手が汚れていない国家は存在しない。問題はそれを直視し、謙虚になることが出来るか否かだ。

 二監督の作品は、ベトナムイラクを経過してもなお、アメリカが民主主義の盟主として存在できることを証明している。

 橋下市長はそろそろ戦略を変更すべきだ。問題を突然提示し炎上させ、そのことによって世界的な論議の俎上に載せる。その目的はほぼ達成された。あとは世界の研究者の判断を仰ぐ方向に行くべきだ。日本人が思う以上に世界の研究者の中には「真実」に謙虚な人もいる。彼等を信じよう。

 私の母校は戦時中アメリカ空軍機の機銃掃射を受けた。学校であることが分からなかったはずはない。軍事施設以外の病院や学校を攻撃することも、復讐に燃える当時のアメリカ軍の「正義」だったのだろう。明かな戦争犯罪だ。もし日本が戦勝国になっていたら彼等は戦争犯罪人になっていたはずだ。

 韓国の中央日報が日本への原爆投下を「(神の)懲罰だ」、第二次大戦末期のドイツ・ドレスデンへの空襲を「ユダヤ人の復讐だ」と主張。さらに 非戦闘員への無警告、無差別の大規模殺傷も正当化している。これらの行為が明白な戦争犯罪であるという意識のかけらもない。「復讐」を最優先。これが韓国人と一部のアメリカ人だ。

 戦争犯罪という意識がないため自分たちがベトナムでどんなに虐殺を働いても良心は痛まない。が、自分たちが受けた被害は些細なことでも針小棒大に言い散らす。こんな国や人間とは距離を置くべきだ。安倍首相が韓国訪問を最後に回そうとしているのは実に賢明だ。初めて日本は外交らしいことをやったのではないか。

 特に韓国は中国やアメリカの両方に取り入り、虎の後ろの「キツネ」になろうとしている。が、両国にすりよるコウモリ国はどちらからも信用されない。日本は冷静に距離をとることが賢明だ。真相は不明だが、日本が独自に北朝鮮に飯島氏を派遣したことは賢明だった。

 南北朝鮮の目的は日本から金をむしりとる事だ。が、サンフランシスコ平和条約にあるごとく、賠償問題は日本が行うべき賠償は役務賠償のみとし、賠償額は個別交渉する(第14条(a)1 など)とされ韓国との間もすでに決着済みだ。戦犯として多くの日本人が処刑され、多額の賠償金まで払いそれでもなおその事実を無視されるとしたら、いったい日本はいつまでこのような屈辱的な状態を続ければいいのか。

 大好きな「三国志」を読むと、あの劉備玄徳でさえ様々な政治勢力と協力したり対立したりしている。政治とはそのようなものだ。曹操などは自己の目的の為には平気で裏切り、善人を殺ししかも全く後悔しない。模範にはならないが、政治とは中国人とはこのようなものだという認識は必要だ。
明治期の日本とアメリカは友好関係、昭和の一時期は戦争状態、そして戦後は再び友好関係。だが、雲が刻々と形を変えるように国の間の関係も変わるかも知れない。アメリカの代わりに中国やロシアが、韓国の代わりに北朝鮮が日本の友好国になることだってある。(あくまで個人の妄想)

 日本人はあまりにも政治的に繊細すぎる。だからちょっとしたことで一億総玉砕とか一億総懺悔とか戦争か平和かというように極端に走ってしまう。これは危険だ。ある日突然人々の考えが変化してしまう。前回の総選挙がいい例だ。

 前提となるのは「真実」だ。そして「不都合な真実」が隠されてきたのではないかと人々が疑い始めてきたのが今の日本だ。今まで真実として教えられてきたことは本当は違うのではないか。学校で教えられない真実があるのではないか。橋下市長の発言でアメリカ軍の慰安所の存在を知った人も多い。

 しかし政治家の発言はどうしてもバイアスを持って見られることが多い。個性的な政治家なら風当たりも強くなる。討論の起爆剤になることも政治家の役割のひとつだ。

 役割を果たした後は、自分の考えを補強してくれる研究者や学者やコメンテーターをどれほど確保できるかが成功の鍵となろう。