【団塊ひとり】少女パレアナの「よかった探し」

 ソウルで28日に行われたサッカー東アジア杯の日韓戦では、FIFA規定に反して観客席に「歴史を忘れた民族に未来はない」との政治的な横断幕が掲げられた。またかという思いだ。スポーツマンシップのかけらもない。私はため息をつき、そして、このように「歴史を無視し、ねつ造する民族に未来はない」のに、と心の中でつぶやいた。

 日本に占領され植民地になった韓国。そして経済環境が悪化している韓国。その「怨」が日本に向かっているのだろう。しかし日本に併合された結果、当時世界最貧国だった韓国の10%にすぎなかった識字率が飛躍的に伸び、奇跡的な経済発展を成し遂げたのは事実だ。韓国人にとっては「不都合な真実・不機嫌な真実」かも知れないが、いまさら歴史は改変できない。

 韓国が常に過去の誇張されねつ造された「韓国の歴史」を臆面もなく持ち出すのは、まともに歴史に向かい合ったら惨めな現実を知るだけだから。中国やロシアの属国のままだったら、今の経済発展はない。でもその事実を認めたくないのだろう。

 中国も南北朝鮮も結局日本軍には勝てなかった。これはどうあがいても否定できない歴史的事実だ。日本もアメリカには負けたが、硫黄島や特攻を始め連合国に恐怖を覚えさせる戦いをした。その尊い犠牲が朝鮮のような領土分割を防止したとも言える。口だけの国と行動を伴う国との差だ。

 300人のスパルタ兵とともに強大なペルシャ軍と戦い玉砕したスパルタ王レオニダス。彼等の功績は世界史の中に位置づけられている。が、それに比肩し得る硫黄島の司令官栗林中将とその将兵の玉砕の事実は日本人すら無関心なものがいる。前者は勝利で、後者は敗北という結果に終わったからだろうか。

 昔、娘と一緒に見た『少女パレアナ』(Pollyanna)を原作とする『愛少女ポリアンナ物語』というTVアニメを思い出した。詳しい内容はほとんど忘れてしまったが、「よかった探し」という遊びだけは覚えている。どんな嫌なことがあってもそこから必ず「よかった」と思えるものを発見し明るく振る舞う遊びだ。

 少女パレアナポリアンナ)が実行した「よかった探し」という遊び。できることなら日本と中国、日本と韓国という諍いの絶えない国と国は、この「よかった探し」の遊びを共にすることが必要かも知れない。お互いが理解し共感し敬意を払う。しかし、こんな簡単なことが大人には難しいのだ。

 さてサッカー精神に反して政治的横断幕を掲示した韓国サッカー。おそらく韓国サッカー協会の暗黙の支持を受けていたのだろう。この行為に対して「よかった探し」を行うことは難しい。アニメと違って現実の世界はなかなか歩みよることは困難だ。