【団塊ひとり】日英同盟と日米安保条約と日本の立場

 人間の田畑の作物を食い荒らす猿や猪。きちんとした対応をとっている限り、田畑が食い荒らされて荒廃することはない。対応策は一つ。それは常に動物を威嚇し、時には「駆逐」という強硬手段を使ってでも動物に境界を分からせることだ。放置していると動物は人間世界を侵食して行く。

 田畑が動物に食い荒らされるだけではない。人工物も一度人の手から離れると急速に荒廃していくのは福島の光景が示している。つい数年前まであれほど輝いていた我が家が、今では植物がはびこり、壁にはシミが出来、家中にはネズミの糞が散らばっている。

 国土の防衛もそれに似ている。好戦的な国は常に相手国の隙をねらって、ことある毎に侵略を試み相手の反応を試す。もし相手国が隙だらけで防衛の意図や能力がないと判断すれば、大量に侵略軍を送って瞬時に相手の領土を自分の物にしてしまう。あるいは日米安保条約が発動されないことを狙い、村上龍氏の小説「半島を出でよ」のように、北朝鮮の「反乱分子」という形で日本の一部を自分の支配下に置くことに成功させるかも知れない。いずれにしろ農民の隙を狙って作物を食い荒らす動物と変わりは無い。

 「国土防衛」を担う自衛隊の役割の一つは、正規軍、ゲリラ部隊、テロリストを問わず海上保安庁では手に余る国境での「小競り合い」すなわち「戦闘」を「侵略戦争」に拡大させぬ戦力を持ち、「戦闘」の敗北を「戦争」の敗北につなげないという働きをすることだ。
「戦争の敗北」がどれほど国土を荒廃させるか、それは前の大戦が示している。

 中国との地域紛争を大きな戦争に拡大させたのは、中国の戦略にはまった戦前の軍隊だ。自衛隊はその轍を踏んではならない。また日本の周辺国も日本を戦争状態に巻き込むような挑発行為を慎まねばならない。が、現状はどうか。日本は中国・朝鮮・ロシアと好戦的な国に囲まれている。そしてそれらの国は自衛隊憲法9条に縛られて、自衛のための「戦闘」行為すら制限されているのを知っている。尊い犠牲が出なければ自衛隊は動けない。自衛隊はストーカーにつけ回される無力な女性のようだ。

 日本人の多くは軍隊が動いて戦争が始まると考えているが、実際に軍隊が動くときはすでに「戦争」の半ばに進んでいるときだ。軍事的な戦争を始めようとする国は、まず経済や政治や文化などの日常的な生活に攻撃を仕掛けてくる。日露戦争の勝利後に日本に対して警戒心を抱いたアメリカが、将来の日米戦争を見越して日英同盟の解消に動き、それがやがて日米戦争に発展した例もある。だが、アメリカの黒い陰謀に多くの日本人は気づかなかった。

 朝鮮人の活動を軽視してはならない。彼等はすでに「戦争」を仕掛けている。しかも現在は情報戦争で明らかに日本に対して優位な立場にいる。例えば朝鮮系日本人慰安婦の像をアメリカに設置することもそうだ。韓国はアメリカや中国を巻き込むことによって日本に圧力をかけようとしている。戦前アメリカのカリフォルニア州で発生し、やがて悪名高い排日移民法((Immigration Act of 1924))が成立して日米戦争へと進んだことを忘れてはいけない。現在でも中国系・朝鮮系アメリカ人の多いカリフォルニア州反日活動が頻出するのは偶然ではない。

 アメリカには大統領令9066号( United States Executive Order 9066)を発令して日系アメリカ人の財産を没収し、強制収容所に収容した過去がある。そしてアメリカ政府を動かした勢力のひとつが中国や朝鮮系のロビー活動だったことを忘れてはいけない。

 アメリカは魔女狩り(Witch-hunt)や赤狩り( Red Scare)の歴史を持つ国だ。今は日本に好意的だが、いつ反日に急転するか分からない国だ。中国や韓国が協力しての日米離間策を軽視することは危険だ。あるいは中国とアメリカが手を結ぶ可能性も存在する。未確認ではあるが、慰安婦像が原因で日本人の子供がいじめられているという情報がある。

 ただ戦前と違っているのはアメリカとの間に、まだ日米安保条約が存在する点だ。戦前の日本の失敗は日英同盟を解消したことである。もし日英同盟が機能していたら、日本は真珠湾に戦隊を差し向けなかっただろうし、アメリカも対日戦争に踏み込まなかっただろう。

 今の日本にとって必要なことは、憲法を時代に合ったものに改正することだ。国境での「小競り合い」すなわち「戦闘」を「戦争」に拡大させぬ戦力を持ち、「戦闘」の敗北を「戦争」の敗北につなげないという働きを自衛隊が出来るようにする事だ。その為にも憲法9条の改正は必須だ。

 ところがこの大事なときに麻生なにがしのナチス発言だ。詳細は分からないので論評は控えるが、自民党政権の発言の揚げ足を取ろうと手ぐすね引いて待っている敵性国やそのエージェントの野党にむざむざ餌を投げてしまった。麻生氏の発言は日本のマスコミが決して麻生氏の発言に好意的な報道をしないことを失念した軽率な発言だ。

 一般的にもよほど覚悟がないとジョークにしてはいけない対象がある。例えばキリスト、マホメットなどの宗教的な指導者。韓国人の知人もいる私が、「韓国人」を心の底から軽蔑し敵視するようになったのも前の韓国大統領が天皇陛下を公然と侮辱したからだ。外交上の最低の礼儀をわきまえない国は野蛮な国と判断するしかない。

 韓国が執念深く慰安婦問題を持ち出すのは、日本政府が根負けして、第二の河野洋平が出ることを期待しているからだ。安倍首相は、絶対に妥協してはいけない。耐えることによって失うものは少ない。だが、妥協することによって失うものはあまりにも大きい。安倍総理河野洋平を他山の石となすべきだ。

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