【東日本大震災】トヨタ問題と福島原発と「いじめ」の問題

トヨタ問題と福島原発と「いじめ」の問題

 トヨタの自動車事故に関する世界的なニュースは、つい最近の事なのに、もうずいぶん昔のことに思える。あの時は衝突寸前の運転手の絶叫が何度も繰り返し放送され、それと並行してトヨタの車に対するバッシングがまるで津波のように押し寄せた。

 しかし、後で冷静に調査すると、実際はブレーキとアクセルを踏み間違えていたことがわかった。またNASAの調査でも、トヨタ車のコンピュータ機能には問題が存在しないことが証明されて、トヨタバッシングは急速にしぼんでいった。しかし、トヨタの売り上げは落ち、競争相手のアメリカメーカーの車がトヨタのシェアを確実に奪っていった。素人の私からすれば、「客観的な事実」によらないヒステリックなアメリカのマスコミの報道姿勢は、何らかの政治的な意図があったのではないかと勘ぐりたくなるほど「過激なもの」であった。

 福島の原発に対する「報道」。こんどもトヨタ問題と同じく、私のような素人はいったい何を信じたらいいのか、さっぱりわからない。日本や海外の報道を見ても、もともと原発そのものに反対している人たちの発言は、そら見たことかという論調で主観が勝っているようだし、原発推進派の論調は、安全安全と言うだけで、かえって何か隠しているようにも感じられる。気持ちとしてはトヨタ問題のように、大山鳴動してなんとやらのように、落ちついてくれればいいと思っているが、どうもそんなに簡単な状況でもなさそうだ。解決が長引けば、その分「日本」の「信用」が損なわれていく。

 解決にもたもたしている間に、悲しいことが起こった。もしかしたらと思っていた「いじめ」が千葉県船橋市で発生したらしい。

産経新聞2011.4.14】より
 福島県から千葉県船橋市に避難した子どもが「放射線がうつる」などと言われ、いじめられたとする匿名の電話が3月、同市教育委員会にあったことが14日、市教委への取材で分かった。
 市教委は、避難者の気持ちを考えて言動に注意するよう児童、生徒への適切な指導を求める通達を、市内の小中学校計83校に出した。市教委によると、匿名の電話は、福島第1原発事故のあった福島県から避難し船橋市内の公園で遊んでいた小学生のきょうだいが3月中旬、別の子どもたちにいじめられたとの内容だった。

 もちろん匿名の電話が真実を伝えたものなのか、デマなのか、それとも何らかの政治的な意図を持ったものかは私にはわからない。が、もし本当だったら悲しくはないか。せっかく、世界から日本人の資質が誉められているのに、このような事が実際にあるとは信じたくない。

 こうした「話」が出てくるのも、先行きの見えない不安な心理が根底にあるからだ。地震津波は不可抗力な自然災害だ。しかし原発処理の遅れや、風評被害、「いじめ」の問題は明らかに人災である。仮に少し「被曝」していたとしても感染はしないという、当たり前の常識を知っていれば「恐怖心」に基づく「いじめ」は発生しない。そして、福島や、宮城や、岩手で起こったことは誰にでも起こり得るということが理解できていれば、変な差別意識は産まれない。

 正しい情報を伝え、明確な目標を示し国民に不安や、不必要な疑心暗鬼を起こさせないようにするのが政府の役割だと思う。でも、それが出来ているとはとても思えない。それにしても、民主党政権がここまで無能だとは、誰も思わなかったのではないか。これは想定外?それとも想定内?いずれにしろ国民の不幸であることに間違いないことが悲しい。