【団塊ひとり】国歌起立で最高裁合憲判断と大阪の橋下知事

 前回のブログで話した友人からまた電話がかかってきた。震災以後少し情緒不安定になっているのか最近は頻繁だ。もっとも長く独身をとおしてきた者が急に結婚したり、震災における対応で醜い人間性を見せられた妻が、配偶者に三行半を突きつけて去っていくなど、ちょっとした騒動が起こっている世相だからしかたあるまい。

 しかしあまり頻繁なので、君のことをブログに書くよとおどしてやったら、「どうぞどうぞ、どうせ誰も見ていないブログだ、本名やプライバシーを推測されることさえ書かなければお好きにどうぞ」と言ってきた。標準語で書いているが、電話ではもちろんコテコテの大阪弁で迫力がある。

 彼が紹介してくれたTV番組の一つに日曜日に読売TVで放送している「たかじんのここまで言って委員会」という番組がある。なんでも関東では放送されていないようで、関東にいる長男に確認したところ、やはり放送されていなかったようだ。これがある意味面白い。「たかじん」という、私から見ればとらえどころのない「遊び人」風のタレントと辛坊治郎という、一見まじめそうなキャスターとの掛け合いが面白い番組だ。司会者によればこの番組は右翼的(最近聞かなくなった言葉だ!)と呼ばれているらしい。そういえば評論家の櫻井よしこさんもよく出るし、阿倍前首相も時々顔を見せる。(注:お二人が右翼と言っているわけではありません。念のため。だいたい「右翼」「左翼」という言葉自体がすでに死語化していると思うのですが・・・・)ほかにも北京放送の反日アナウンサーや、反日韓国人、重信房子関係の人間や社民党の「論客」、もと警官、被差別部落の人などが自分の正体を堂々と表して意見するなど、実に幅の広い人物や題材を取り扱っている。単純に「右翼番組」だと片付けてはいけない貴重な番組だ。

 先日は尖閣諸島の漁船「衝突」ビデオを公開した元海上保安員が登場した。そういえば実刑確定後の堀江貴文氏もゲストで出て、色々と話していた。過去では大臣になる前の原口議員や桝添議員などの多数の政治家が出演している。彼らやアイドルタレントや落語家や評論家や大学教授や、様々な職種の人がごった煮の状態で出てくる番組で、まさしく大阪の真骨頂とでもいう番組である。普通のメディアでは避けて通る人たちにも意見陳述の機会を与えるという点でも、今時希有な番組だ。なぜこれが関東では放送されないのか不思議である。たぶん乱発される「放送禁止用語?」(この部分は音のモザイクがかかる)や平気で「天皇制」などの禁断の問題に切り込んでいくからだろう。

 この番組に現在の大阪府知事、当時は茶髪の「けったいな」弁護士、橋下徹氏がレギュラー出演していた。その橋下氏が国歌起立命令を合憲とした最高裁判決に関する感想を述べた記事が出ていた。

 卒業式での国歌斉唱時の起立命令を合憲とした30日の最高裁判決。国歌斉唱時に、教員に起立を義務付ける条例案大阪府議会に提出した地域政党大阪維新の会」(維新)の代表を務める橋下徹知事は、記者団に「入学式や卒業式で起立を求めるのは憲法違反にあたらないというきちっとした判断を最高裁が出した」と評価した。(中略)その一方で「判決が出たことで条例までは必要ないのではという有権者に対し、維新は条例の必要性を丁寧に説明しなければならない」と述べ、「先生は起立斉唱以外の命令に対しても組織として動くべきで、条例は必要だ」と持論を展開した。(産経新聞

 団塊世代はどちらかと言えば、徹底した左翼教育の洗礼を受けた世代だ。特に大阪は組合教育が徹底されていて、公立学校ではある時期およそ卒業式の国旗掲揚など考えられないことだった。私は、小学校6年の時に大阪に引っ越して来たのだが、高校に至るまで卒業式で日の丸を見た記憶がないし、国歌を歌った記憶もない。(もしかしたらただ忘れているだけかもしれないが)中学校では音楽でも教科書を使わず、教師が作成したプリントでイムジン河などアジアのある特定の国の歌を歌わされていた記憶がする。(高校はさすがに芸術的な曲が中心だったが)

 こういう教育を受けると、左翼思想に染まるか、逆に反発するかどちらかである。友人は後者の方だ。その友人が経験したある高校の卒業式の模様を電話で興奮した口調で話してくれたことを思い出した。今から10数年前のことなので今は「改善」されていると思う。個人ではないし本当のことなので実名を出す。豊中高校という大阪でも十指に入る公立の進学高校の卒業式の出来事だ。国歌斉唱の合図で生徒や保護者が立ち上がろうとしたときである。突然数名の教員の怒声が飛んだ。「立つな!立つな!座れ〜え!」この声で立ち上がった大部分の生徒が座ってしまった。

 友人はこの経験があるので「何が、思想の自由だ、何が良心の自由だ」と教員に手厳しい。自分たちの「権利」を主張するのに、生徒や保護者の「国歌を歌いたい」という「思想の自由」「権利」を奪っていると彼は言い立てる。言われてみればそうだ。ここまでひどくはないと思うが、当時の大阪の公立高校はこれに近いものだったのかもしれない。

 私は愛国心とかそういうこととは関係なく、国歌斉唱とあれば立っている。それが礼儀だと思うからだ。だからそれが中国であろうと北朝鮮であろうと、日本の賓客として来日しているのなら、私は思想信条に関係なく起立するだろう。もちろん自国の国旗・国歌に対しても当然である。それが礼儀だし、自然なことと思うからだ。

 法律に詳しくは無いが、それでも刑法92条に規定されている外国国章損壊罪の存在くらいは知っている。

第九十二条
  1 外国に対して侮辱を加える目的で、その国の国旗その他の国章を損壊し、除去し、又は汚損   した者は、二年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。
  2 前項の罪は、外国政府の請求がなければ公訴を提起することができない。

 ところが自国の国旗に対しての侮辱・損壊に対する罰則規定を私は知らない。法律に詳しくないのでその存在を知らないだけなのかとも思うが、もし無いとすればこんなおかしいことはない。この大震災を契機に戦後民主主義なるものの功罪を考えることも必要では無いだろうか。