【団塊ひとり】松本復興相辞任、放言で引責 東北放送の勇気に感謝

 時間の問題だと思ってはいたが、予想より速く松本復興相が辞任した。その発言内容はマスコミで「大きく」取り上げられ辞任の原因となった。発言内容を毎日新聞の記事を抜粋して引用する。

宮城県庁での村井嘉浩知事との会談>
(漁港を)3分の1〜5分の1集約すると言っているけど、県で(漁業者の)コンセンサス得ろよ。そうしないと我々何もしないぞ。だからちゃんとやれ。そういうのは。

 今、後から(村井氏が)入ってきたけど、お客さんが入ってくる時は、自分が入ってからお客さん呼べ。いいか。長幼の序がわかっている自衛隊ならそんなことやるぞ。分かった? しっかりやれよ。最後の言葉はオフレコです、いいですか、みなさん。書いたらその社は終わりですからね。

岩手県庁での達増拓也知事との会談>
 俺九州の人間だから、東北が何市がどこの県とか分からんのよ。

 俺なんかちゃんとアイデアもっているだろ。ずっとこの仕事やっているから、ずっと指示しているから。国は今、進んだことやっているから、まずそこに付いてこないと。

 知恵出したところは助けますけど、知恵出さないやつは助けない、そのくらいの気持ちを持って。だから昨日、宮古市の山本(正徳市長)にも言ったけど、もうアレがほしいコレがほしいはダメだぞ、知恵出せよ、という話をした。あれ俺の弟みたいなものだから。甘えるなと言った。
                       (毎日新聞 7月4日記事より部分引用)

どれも傲慢で、ひどい発言だが、さすがに新聞や、TVもそれを問題と思ったらしく、街頭インタビューを受ける「市民」の発言の多くも、上から目線の高飛車で傲慢な言い方に対する反発、担当大臣でありながら「客」とは何事かとその意識の低さを問題にするものや、血液型のB型や福岡出身ということを言い訳にしてほしくなかった、というものが目立っているようだ。

 しかし、発言にかいま見える本当の問題点は、「最後の言葉はオフレコです、いいですか、みなさん。書いたらその社は終わりですからね。」という発言にあるのではないか。放送免許を左右できる政府の閣僚の言葉であるだけに看過する事ができない。明らかな圧力であるからだ。

 が、ネット上の「情報」によれば「みなさん。書いたらその社は終わりですからね。」という脅かしに屈服しなかったのが、地元の東北放送だったらしい。

 「書いたらその社は終わり」の脅しを物ともせず、東北放送(TBC)はあっさりとニュースで報道。オフレコ発言のシーンも、そのまま放送した。このニュース映像はYouTubeで公開され、またたく間にネットで話題となり、本誌を含むネットメディアなどが次々と報道。その後、テレビでも報じられて大問題に発展し今に至るといった流れである。
 もしも東北放送(TBC)が、あのシーンを報じていなかったら、ここまでの問題にはなっていなかったはずだ。それもそのはず、東北放送(TBC)以外の主要メディアは、見事に「オフレコ発言」をスルーし、当たり障りの無い記事で一報を打っていたからである。東北放送(TBC)と他社メディアの記事の違いは、映像がYouTubeで公開された時からネットでは話題になっていた。そして今、著名人からも「日本メディアのあり方」について、疑問の声があがっている。
(ロケットニュース24より引用)

 松本復興相の発言は、私に昭和43年に成立した「日中関係の政治三原則」を思い出させた。この「原則」によって、中国の意に反する報道を行うマスコミは中国に常駐記者をおけなくなった。その結果、朝日新聞は中国国内に残り産経新聞は追放された。

 ジャーナリズムが権力に屈したらおしまいである。

 現在の中国や韓国・北朝鮮と同じように、日本もかつては言論弾圧の歴史を持っていた国だ。江戸時代では幕府批判をした戯作者は手鎖の刑罰を受けたし、最悪の場合は処刑された。明治になってからも、例えば新聞紙条例(明治4年)や新聞紙法(明治42年)によって内容によって新聞・雑誌の発禁が合法化された。極めつけは大正14年治安維持法だ。その後の歴史がどうなったかは説明を要しないだろう。

 私も東北放送の映像を流したYouTubeは見た。東北放送の「勇気」に感謝したい。