【団塊ひとり】由紀さおりさんとPink Martini(ピンク・マルティーニ)のアルバム「1969」を聴いて

 由紀さおりさんのアルバム「1969」が届いた。早速聴く。アメリカで一位。世界各国でも上位にランクしているそうだ。輸入盤を注文したので、到着までにずいぶん時間がかかったが、その甲斐があった。1969年に作成された日本および西洋の楽曲がちりばめられていてとても素晴らしい仕上がりになっている。1969年と言えば40年以上も前。私はまだ20代の独身で、青春?を謳歌していた時代だ。いしだあゆみさんや奥村チヨさん、小川知子さん、伊東ゆかりさん、などの歌声が流れていた。

 私が初めてレコードを購入したのは中学生の時。ザ・ピーナッツの「可愛い花」というタイトルの25センチのLP盤。モノラルだが今でも大切に保存していて、今はデジタル変換してパソコンに入れている。

 由紀さおりさんのLPは30センチ盤を4枚ほど購入した。当時イージーリスニングというジャンルに分類されていたように記憶している。「1969」を聴いても当時と変わらない声で安心する。もう少し編曲されているのかなと思っていたが、「夕月」などもオリジナルとあまり変わらず、しかも日本語の歌詞でよくこれほどまで評価されたと感心したが、考えてみれば我々も意味の分からない外国の曲に飛びついているのだから、感心する必要も無かったのかもしれない。しかし、当たり前の日本の環境で作られた楽曲がこれほど評価されることはうれしい。

 PINK MARTINIという楽団は知らなかった。ネットによればカナダのとかアメリカのとか書いてあって、どこの国か私には未だに分からないほどだ。が、今までも由紀さんの「タヤタン」などを取り上げていたらしいので、今回の競演はある意味で運命的なものなのだろう。ユーチューブで聴くと専属?の女性歌手も由紀さおりさんと声質が似ている。私の知らない日本の曲も日本語で録音されていて、なんだか不思議な印象の楽団だ。

「1969」というアルバムはとにかく穏やかになれる。JPOPやKPOPではまるで私は「異邦人」だが、ここでは私は安心して歌声に身を任せられる。懐かしく、それでいて現代に必要なものが品良く配置されている。

 今回のアルバムで一つ発見した。団塊の世代には懐かしいPeter、Paul&Maryの「Paff, the magic dragon」という曲だ。日本語の歌詞では、子供たちと仲良く遊んでいた魔法の竜パフ。やがてこどもは大きくなり遊びに来なくなる。年をとらない竜は「涙をながす」そして「ひとりぼっち頭をたれてほこらへ帰る」。昔はただ耳に心地よい曲としか受け止めていなかったが、いま改めて聴いてみるとああ、これは我々団塊の世代の未来のことだ、と思い当たった。そう思うと「1969」というアルバムがヒットする理由が分かったような気になった。