【団塊ひとり】知事から政令市長に異例の転身実行の橋下氏当選、 大阪市民の判定下る

大阪維新の会の橋下氏が大阪市長に、松井氏が大阪府知事に当選。NHKは開票前に当選確実のテロップを流したのだから、出口調査では「予想外」の大差だったのかも知れない。投票率も市長選が60.92%で、前回より18%近くもアップした。私は、投票率が少なければ組織票の平松氏が優勢と見ていたので、投票率から見れば妥当な結果になったと言える。大阪市民は「官」よりも「民」の力を選んだと言える。

 私は、よくも悪くも橋下氏の実行力と決断力を、日露戦争の功績者の一人児玉源太郎になぞらえている。児玉源太郎は日露開戦が必至となったとき、当時、内相、台湾総督を兼務する副首相の立場であったにもかかわらず、あえて自ら降格人事を要請し、参謀本部長に就任している。その後の活躍は「坂の上の雲」などに詳しい。児玉は二〇三高地を攻めあぐんでいた乃木大将を援護して、据え付け砲の配置転換を行うという奇抜な作戦で、わずか半日で陥落させたと言われる。この実行力と「国家の危機」に際してはすべて国益を優先するという「無私」性が児玉の魅力である。反論も多いと思うが、私は橋下氏に児玉源太郎の実行力と無私性を見ている。。

 TVで平松氏の敗戦の弁を聞いて、当選するには何が足りなかったか分かったような気がした。平松氏は自分の発信力、表現力が足らなかったことを強調していたが、何よりも足りなかったのは児玉や橋下氏が見せた実行力であり、目的のためには自分を殺すことの出来る「無私」性である。それが平松氏には見られなかった。橋下氏には、自らに加えられたネガティブキャンペーンを、自ら取り上げてそれを自分の選挙活動に利用できるたくましさがある。橋下氏の当選は、選挙で選ばれた橋下氏に対して「独裁者」と批判し、反対ばかりする平松氏では大阪の閉塞状況は払拭できないということに、市民が気づいた結果ではないかと私は思っている。

 しかし、橋下氏の道は困難を極めている。猛烈な反対運動や嫌がらせも頻発すると思う。が、中途半端な妥協をせず、敵を恐れずこれをなんとか切り抜けて自分の考える「理想」を達成してほしい。まかり間違っても民主党のように多数を頼んで傲慢となり、民意を無視するような政治を行ってほしくない。大阪維新の会は新しい政党で、業績はまだまだ未知なところがある。どこまでやれるか選挙民は冷静な視線で見ていくのではないだろうか。