【団塊ひとり】「後進国なら菅氏は死刑」溝手氏、事故調報告受け 


 最初は誤植だと思った。次の記事である。

後進国なら菅氏死刑」「谷垣さん歯がゆい」溝手氏放言
 自民党溝手顕正参院幹事長は28日の記者会見で、原発事故対応にあたった菅直人前首相を「後進国なら死刑」と切り捨てる一方、自民党幹部も「歯がゆい」などと激しく批判した。

 溝手氏は民間の「福島原発事故独立検証委員会」が菅氏を批判する報告書をまとめたことに触れ、「後進国だったら裁判にかけ、死刑という話になりかねない大変な話」と指摘。29日に野田佳彦首相との党首討論に臨む谷垣禎一総裁については「(首相と)ディベート技術の差はかなりある。谷垣さんは純情。歯がゆいが、そういう男」。テレビ番組で「話し合い解散」に言及した安倍晋三元首相も「過去の人。一生懸命リハビリ中で、主導権を取ろうと発言するのだろう」と酷評した。(今野忍)
朝日新聞WEBより)

 まず「後進国」という古い用語、朝日新聞ともあろうものがこんないい加減な記事をと思ったが、「 」でくくられているのでおそらく発言者の言葉をそのまま引用したのであろう。そうでないと納得いかない。「誤植」では無いのだ。

 だが、我々の基準では「発展」途上の国であっても、我々よりもずっと幸福で穏やかな国は多い。例えばブータン。「後進国なら菅氏死刑」は失礼である。「後進国」はおそらく「独裁国家」とでも言い換えるべきである。

 が、「独裁国家なら菅氏死刑」ではますますおかしくなる。例えばカン氏が北朝鮮や中国で国家主席の地位にいたならば、たぶん「死刑」になるのは、まず国家主席の「罪状」を公表したマスコミの記者だろう。罪状は例えば主席が無能でわがままで、アホだという国家機密を外国に流した罪、スパイ罪、または国家反逆罪くらいになろうか。東京電力も社長以下多くの人間がよくて強制労働、何人かが責任をとらされて公開銃殺くらいになるだろう。あるアジアの国の独裁者の命令でデノミ政策を実施した幹部が、その失敗の責任をとらされ処刑されたのはつい最近のことである。独裁国家では、国民が立ち上がらない限り、また権力闘争が発生しない限り権力者が裁かれる事態は発生しない。

 「後進国なら菅氏は死刑」などと、こんなとんちんかんなことを言っているから、大震災を最大限利用して存命をはかっている民主党の大失政にも関わらず、自民党はその党勢を立て直すことが出来ない。自業自得だ。

 確かに、党首討論を見る限り谷垣総裁の非力さは明らかである。が、それにかわる人間を党首に選べないところに自民党の集団疲労がある。政党としてはもう寿命が尽きたのではないか。活力が無くなったのだ。そのような政党が我が国で二番目の勢力を持っているところに我々の悲劇がある。それは民主党がなりふりかまわず政権にしがみついているのと同じ程度に日本の悲劇であると私は思う。