【団塊ひとり】民主党とオウム真理教の上祐氏との奇妙な「暗合」

 ある世論調査によると野田内閣の支持率が少し上昇したそうだ。首相は以前はこれ以上ないほどの低姿勢を貫いていたのに、最近はやけになったのか、居直ったのか、それとも橋下市長の手法をまねたのか多少強引になってきたが、それがかえって力強く感じられたのかもしれない。

 最近気になることがある。野田首相だけではなく、民主党の閣僚の発言が以前経験した何かに似てきたからだ。奇妙なデジャブ感、それはいったいどこから出てくるのだろうかとしばらく考えた。例えば次の記事を見てもなんか変だな、という印象が強く残ってしまう。

【記事引用】
 野田政権は6日の行政改革実行本部(本部長・野田佳彦首相)で、2013年度の一般国家公務員の新規採用について、09年の政権交代前に比べ、4割超の削減方針を打ち出した。消費増税を目指す政権の身を切る改革の一環で、今月中に閣議決定する。
 野田首相は会合で、全閣僚を前に「政治改革と行政改革を実行することが、国民の信頼と納得を得る上で不可欠だ。国民にわかりやすい成果を出す必要がある」と述べ、採用抑制への協力を指示した。
 民主党政権は09年度に比べ、11年度は約4割、12年度は約3割、新規採用を減らしている。岡田克也副総理は会合で「これまでを大幅に上回る抑制をする」と述べ、09年度の新規採用の8511人から4割超の削減を目指す考えを示した。具体的な数値を盛り込んで、閣議決定する方針だ。(後略 朝日新聞より)

 「消費増税を目指す政権の身を切る改革の一環」とあるが、本当にそういえるか。どう考えてもこれから就職を目指す若者の前途を閉ざすだけで、現職の公務員や国会議員にとって、とうてい「身を切る改革」と言えるような政策とは思えない。確か民主党政権は公務員の給料2割削減をうたっていたのではなかったか。が、現実は公務員を希望する若者の前途を閉ざすだけの結果になっている。その他、沖縄の基地問題年金問題子ども手当、消費税など言行不一致があまりにも多すぎる。今日の国会中継を見ても、のらりくらりの答弁に終始し、少しも真面目に答えない。そして質問する野党もそれをどうすることも出来ないようだ。

 どこかで見た光景と思ったのは、オウム真理教の上祐氏とTVスタッフとのやりとりのことだった。あのとき、上祐氏は「ああいえば上祐」と揶揄されるほど「見事に」TVの司会者を翻弄していた。一流の国立大学を出ていた司会者の大半が、上祐氏の弁舌を崩すことが出来なかった。あのとき日本人は初めてディベートの力を知ったはずだ。それに比べれば田中防衛大臣は「素直」すぎて上祐氏の足下にも及ばないが、ある女優と路上キスをして有名になった閣僚などの発言は、「上品」になった上祐氏とTV司会者とのやりとりを思い出させる。国家の中枢をしめる「選良」集団と危険なカルト集団の「オウム」。例え比喩であってもなぞらえることが不謹慎であることは分かっている。そしてこのような乱暴な表現は「ネット右翼」と呼ばれる人たちの常套手段だと思って、今まで避けてきたが、もしかしたら彼らはある意味で物事の本質をついていたのかも知れないと思い始めた。それほど最近の民主党の政治家たちの発言は不誠実である。

 詭弁を弄する人間、それを崩し追い詰めることの出来ない人間の集団。それが今の国会の一つの姿かもしれない。思い切った改革が必要なときだ。