【団塊ひとり】橋下市長は擁護するが…知事「市議団が勇み足」労組名義の職員リスト捏造

 「恐れていた」ことが発生した。対応を誤ると、かつての民主党の「偽メール」事件の二の舞になりかねない。新聞報道を見てみよう。

 大阪市交通局の元嘱託職員が労組名義の職員リストを捏造していた問題で、大阪維新の会幹事長の松井一郎大阪府知事は28日、リストを基に議会で労使関係をただした維新市議団の対応を「勇み足だった」と認めた。
 市議会他会派から謝罪を求める声が強まる中、維新市議団は30日に経過説明の記者会見を開く。
 リストは、昨秋の大阪市長選での前市長への支援を求める職員労組名義で作成されていたが、同局の元嘱託職員(32)が捏造し、維新の杉村幸太郎市議に提供したとされる。杉村市議は2月の市議会委員会でリストを示し、労使の癒着関係を追及した。労組側は「偽造だ」と、関与を否定してきた。
 維新代表の橋下徹市長は、「維新の指摘を受けて市が調査し、組合のぬれぎぬを晴らした。何の問題もない」と市議団を擁護してきたが、松井幹事長はこの日の記者会見で「リストが本物か、偽物かというところまでの調査能力がなかったということ。議員が勇み足で走ってしまった」とした。(読売新聞 3月28日(水)WEB配信より)

大阪市職員、リスト捏造認める 「労組告発したくて」

 昨秋の大阪市長選で前市長の支援者拡大を職員労働組合が徹底させる内容の職員リストが捏造された問題で、架空の文書を作成した疑いがもたれていた市交通局の非常勤嘱託の男性職員が27日、同局の事情聴取に対し、捏造を認めたことが分かった。職員は「文書を大阪維新の会の市議に持ち込んだ」とも話しているという。取材に対し、同局が認めた。同局はこの職員を27日付で解職するとともに、刑事告発を検討する方針。
 捏造と判明した文書「知人・友人紹介カード配布回収リスト」について、男性職員は27日、交通局の調べに「誰かに作成を依頼されたものではなく、自分が作った」と説明しているという。
 動機については、昨秋の市長選では職場内で労組による紹介カードが配られているのを目撃したと主張。そのうえで「ひどいと思い、何かしらの形で告発したいと思った。正義感からやったがだめなことをしてしまった」「明るみに出れば、騒ぎになると思っていた」などと話しているという。文書を送った維新市議については「以前から面識があった」と説明しているという。(朝日新聞より)

非常勤職員、捏造・流出認める 市長選リスト 交通局、解雇へ
 大阪市交通局の職員リスト捏造問題で、交通局がリスト作成者と断定した鉄道事業本部の男性非常勤嘱託職員が、同局の事情聴取に対し、捏造と外部への流出を認めたことが27日、関係者への取材でわかった。交通局は解雇する方針。
 職員は26日の聴取に対しては作成を否定し、職員が日常使うパソコンの履歴など具体的な証拠が提示されても、あいまいな説明をしていた。
 交通局は27日も引き続き聴取を実施。関係者によると、その中で捏造を認めたという。
 一方、橋下徹市長は27日、報道陣に対し、この職員と大阪維新の会にリストを“内部告発”した人物との同一性について「客観的証拠からすれば高い蓋然性(確率)で認められる」「維新はもう当然視しているんだろう」と述べ、職員が維新にリストを提供したとの認識を示した。
 一方、維新市議がリストをもとに、市議会で交通局と労働組合が不適切な政治活動をした可能性を追及したことについては「何も追及しなかったら捏造の事実すら出てこなかった。捏造ということで組合のぬれぎぬをはらしたのだから問題ない」と話した。(産経新聞WEBより)

 新聞社によって若干の表現の違いはあるが、おおむね内容には共通性がある。

 まだソビエトという国が存在していた時のことだ。そこの諜報機関が正体を隠して日本のある反ソ的とされたマスメディアに情報提供したことがある。「特落ち」を極端に恐れるマスメディアの習性としてその報道機関は「スクープ」とばかりに飛びつき一面で報道した。が、知る人ぞ知る、それは巧妙に操作された偽情報だった。「敵」の信用を損なわせるために実施される古典的なテクニックだ。小説の世界ではありふれた常套手段となっているが、現実に「おいしいエサ」をぶらさげられると、人間は功名心を押さえることが出来ずに「理性」や「判断力」や「慎重さ」を失うものらしい。「維新よ、お前もか!」と言いたくなる。

 公務員や教員は橋下市長や維新の議員が思っているほど「アホ」ではない。厳しい法律を作っても必ず骨抜きの方法を考えるし、場合によっては巧妙な手段をつかって「敵」を追い落としにかかる。
またマスコミを使って自分を正当化しようとする。そして、マスコミも自分では気がつかぬ?うちに政治に利用されることがある。例えば、最近の北朝鮮に関する一部ワイドショーの異常なまでの「加熱報道」は、まるで日本の報道機関が北朝鮮のプレスリリースの発表機関のようになっていると錯覚するほどだ。臆病な私などは白馬に乗った「指導者」の映像を繰り返し放映されることによって、知らないうちにマインドコントロールされるのではないかという思いにとらわれる。

 今回の「事件」で思い出されるのは民主党前原議員の「偽メール事件」だ。「不幸」なことに、あのとき辞職した議員は後に自ら命を絶ってしまった。詳細は分からないが、今のところ「偽メール事件」とは異なり維新の議員の自作自演ではないようだ。だからといって「責任」が全くないわけではない。「内部告発」の情報の真偽を確認しなかったからだ。橋下市長と維新の会は、単なる「勇み足」ですませずに、きちんと経過を報告し納得のいく説明をすべきだ。