【団塊ひとり】初めてのロンドン五輪メダリストのパレードに感動するも・・・・なぜいま?

 初めての五輪メダリストのパレードが実施された。巨人軍の優勝パレードを遙かに上回る50万人もの観客が集まったそうだ。各マスコミの報道も多少過熱気味だ。引用する。

銀座 五輪の興奮再び…祝賀パレード

 東京・銀座の目抜き通りで20日に行われた五輪日本代表メダリストを祝う初めてのパレード。「おめでとう」「勇気と感動をありがとう」。祝福するファンや買い物客らであふれかえった約1キロの沿道からは、とぎれることなく歓声があがり、選手たちは手を振って応えたり、メダルを掲げて見せたりして、一緒に喜びを分かち合った。

 パレードは午前11時スタート。銀座通り口交差点に、選手団の旗手を務め、レスリング女子55キロ級で3連覇した吉田沙保里選手らを乗せたオープンカーが先頭で現れると、沿道の観衆からは日の丸が描かれたうちわが振られ、大きな拍手や歓声がわき起こった。

 その後、真っ赤なブレザーに身を包み、5台のオープンバスに分乗したメダリストが次々と登場し、パレードの興奮は最高潮に。

 スタート地点の銀座通り口交差点付近で午前5時20分から最前列で待っていた大阪府守口市の会社員島尾瞳さん(26)は「感動と勇気を与えてくれて本当にありがとうって思いを伝えられました」と興奮した様子だった。長女の小学1年生春佳ちゃん(6)と見に来た東京都中央区の主婦磯貝三千世さん(48)は「選手に『お疲れさま』という気持ちで拍手を送った」と話した。

 仕事を一時抜け出したという、足立区の歯科衛生士の外村成美さん(22)は「(水泳の)入江(陵介)選手がこっちを向いてくれたのでうれしかった。人が多くて、うまく写真を撮れなかったが、目に焼き付けた」と話していた。

 警視庁は、混乱を防ぐため、機動隊員ら約700人をパレードが行われる銀座中央通り周辺に配置。雑踏警備や周辺の交通規制にあたった。

 内村航平選手(コナミ)「たくさんの人に集まってもらい、圧倒された。僕の名前が書いてあるうちわが、すごくたくさんあった。ほんのちょっとだけアイドル気分を味わえました」

 沢穂希選手(サッカー女子、INAC神戸)「一生見ることのないぐらいの人を、一気に見たような感じ。本当にたくさんの方々に応援していただいたんだなと思った」(8月20日 読売新聞)

 これを機会に東京オリンピックの誘致に国民の気持ちが向けられればと思う。東日本大震災の被害が完全に癒えない現状であるからこそ、まず気持ちを前に向かせる具体的な努力が必要だ。東京オリンピックや大阪の万博の熱気をともに味わった団塊世代のひとりとしては、ぜひ東京に再度五輪旗がはためく光景を見たい。もちろん経済効果も期待できるし、世界中から観光客も集まる。その人達に震災から復興した日本の姿を世界に発信できる機会にもなることを考えればぜひ東京五輪は成功させたい。前回の東京五輪が戦後の一区切りを実感させたことを考えればなおさらである。しかし何よりも日本にいながら日本人選手達の熱闘を直に見ることが大きい。それこそオリンピックを地元で開催する最大の意義である。再度の東京オリンピックの開催は停滞気味の日本社会に精神的、社会的、経済的に大きな活力を与える起爆剤になり得ると思う。

 ところでこの祝賀行事に水を差すようだが、メダリストのパレードはなぜ、昨日だったのだろう。というのは29日からパラリンピックが開催されるからだ。私の認識ではオリンピックは「健常者」の大会と「障害者」の大会の「二輪」で完成すると思っているからだ。今回は、なぜ同時にパレードを実行しなかったのか。そのことに今回のパレードの実行者は誰も疑問を持たなかったのか。それともパラリンピックは今回とは別にメダリストのパレードを考えているのだろうか。が、もしパラリンピックのメダリストのパレードが行われなかったとしたら・・・・。その時は政治家、スポーツ関係者だけではなくマスコミや我々も、オリンピックというものに対する姿勢が問われることになろう。

 世間の素直な興奮に水を差すようだが、「ひとり」そっとそんなことを思ってみる。