【団塊ひとり】中国公船、尖閣領海に相次ぎ侵入…海保が警告


 尖閣国有化の反動か、中国国籍の船舶の領海侵犯が相次いでいる。新聞記事を引用する。

 14日午前、尖閣諸島沖縄県石垣市)周辺の領海内に、中国国家海洋局所属の監視船「海監」6隻が相次いで侵入した。
 同諸島の領海では過去にも中国当局の船舶が侵入を繰り返しているが、海上保安庁によると、6隻が同時に領海に侵入するのは過去に例がないという。政府が11日に同諸島の魚釣島など3島を国有化したことに対する対抗措置とみられる。
 同庁などによると、同諸島の大正島周辺では、午前6時18〜20分頃、監視船の「海監51」「海監66」が北北東約22キロの地点から領海に侵入。
 さらに、大正島から西に約85キロ離れた同諸島の久場島周辺では、同7時6〜15分頃、「海監50」「海監26」「海監27」「海監15」の4隻が領海に侵入した。
 大正島周辺の2隻はいったん、同7時48分頃に領海を出た。午前11時現在、久場島周辺の4隻は領海外に出たが、大正島周辺の2隻が再び、魚釣島沖の領海内に侵入したという。
          (9月14日読売新聞より)

 これは、日本政府の出方をうかがう中国の確信的行動だ。日本政府の対応如何によってはさらにエスカレートしてくるのは間違いない。もちろん、領空侵犯と異なり、領海内に侵入したからと言ってすぐに撃沈できるわけでもない。が、いざとなれば「戦闘」になる可能性だけは想定しておかなければいけない。武力衝突は「想定外」だったという逃げ口上は許されない。

 尖閣に不法侵入した香港の活動家を即時解放したことに対して、マスコミやネットは日本政府の弱腰を責め立てるが、実は「平和憲法」の下でもすでに日本は「外国」との交戦を体験していることは認識しておくべきだろう。

 よく知られているのは2001年の小泉政権時代の「不審船」の攻撃に対する自衛射撃、それは最終的に不審船の自爆を導いた。あのときはその様子がすぐさまビデオ放映されて、日本国民だけではなく世界中に北朝鮮の違法行為が暴露された。自爆で10数名の自国民が死亡し、また漂流していた数人の北朝鮮人も、自爆攻撃の可能性があったから海上保安庁の艦船は救助しなかった。が、北朝鮮の抗議もなく、日本政府が世界で非難されることもなかった。不法に領海を侵犯した船舶に対して世界基準に従って正当な行動をしただけであるから、当然のことである。

 民主党の野田政権と自民党小泉政権とを比較すると、今の中国や南朝鮮がここまで日本人をなめるのも無理はないと思う。民主党はいったい何を恐れるのか。どんな弱みを握られているのか。不思議でならない。わかることはこの政権では日本は限りなく沈没していくだろうという事だけだ。それに対して、「日本維新の会」がその結党宣言で、「尖閣竹島」も党旗に描いていますと橋下党首が強調したことは対照的である。中国船の侵犯は日本維新の会には追い風となろう。かつて民主党に吹いていた風は完全にその流れを変えた。

 実は2001年以前にも海上保安庁自衛隊は不審船に対して毅然と威嚇射撃を実施している。まず1953年の「ラズエズノイ号事件」。その時は停船命令を無視した「不審船」が巡視船に銃撃。巡視船は応戦しながら追跡し、船長ほか乗組員全員を出入国管理令違反で逮捕している。その結果「ラズエズノイ号」は事前の情報通り当時のソビエト工作員を迎えに来た工作船だと言うことが証明され、当時の日本政府はソビエト政府の謝罪を引き出している。

 2回目は自衛隊の初の海上警備行動になった1999年のいわゆる「能登半島沖不審船事件」だ。
このとき海上自衛隊は威嚇射撃ではあったが数10発の警告射撃を実施している。重要なのは工作船がロシア領内に逃げ込もうとしたときに、ロシア政府から不審船追跡における自衛鑑のロシア側海域通過の許可が下りたことである。いまだに平和条約も締結されず、一部勢力からはいわば仮想敵国と見なされているロシアの許可は、領海侵犯が、独立国であることを侵害する重大な国家犯罪であることを示している。南朝鮮とは異なり、「腐っても鯛」意識を持っている大国中国だ。国民はともかく中国政府が理解できないはずはない。今回の領海侵犯が日本政府の出方をうかがう中国の確信的行動であり、状況によっては尖閣竹島化を狙うものであることは明らかだ。

 ただ今までの「不審船」とは異なり、今回は明確に自国の船籍を明示した政府の船舶であることが問題だ。しかし国際的な慣習に従えば、領海内で無害でない活動を行う軍艦に対しては、その活動の中止要求、すなわち領海外への退去要求を実施できる。さらに従わないときは警告射撃、さらに相手が明確な武力攻撃を行ってきたときは撃沈も正当な国家行為になる。政府は海上保安庁だけではなく、場合によっては海上自衛隊および航空自衛隊の出動を要請すべきだ。

 中国船が武力攻撃した場合のリスクは中国の方が大きい。なぜなら戦闘で敗北すれば、彼らのメンツは丸つぶれになるからだ。その結果は日本人を勇気づけるし、中国と争っているベトナムフィリッピン、台湾は日本の力を見直すだろう。さらにチベットウイグルを初めとする中国内の祖国解放戦線も勢いづくだろう。また「戦闘」は中国内に大規模な反日行動を引き起こし、その愛国無罪の行動はやがて制御できない規模になる。日本人の経営する企業に被害は出るし、観光客に死者も出るかもしれない。大使館も焼き討ちされ、日の丸は各所で焼かれるだろう。が、その状況は世界に発信され、中国の国家的な威信は下がるだろう。中国内の反日運動はやがて共産党批判、政府批判となる可能性をはらむ。その結果アジアの勢力地図に変化が起きる可能性がある。

 たぶん中国は軍艦ではなく漁船に偽装した大量の船舶を送り込み、上陸を強行する可能性が強い。その時は臨検を行い、反抗した場合は射撃してでも阻止する覚悟が必要だ。あるいは、大量の漁船が近づいたときは煙幕をはり混乱させることも重要だ。また日本漁船も事前に尖閣にでるべきだ。もし仮に日本漁船が被害を受けるようなことがあれば、その時は日本の漁船を守るために発砲を許可すればよい。このように尖閣周辺の戦闘の可能性は高いが、大規模な戦争になる可能性は低い。安保条約が存在するからだ。

 政府は、あらゆる可能性を「想定」し、毅然たる態度をとれる体制を敷いておくことが肝要だ。戦後体制を打破するよい機会であり、なによりも自衛隊にとっては公然と自らの実戦能力を確かめる機会であることを自覚すべきだ。