【団塊ひとり】遠隔操作型ウイルスによる感染被害と冤罪の危険性

 遠隔操作型ウイルスを伝染させ、第三者を利用して犯行予告メールを送付した可能性のある「人物」からの警察への挑戦メールがTBSに届いたらしい。TBSは私の頭の中では坂本弁護士事件以後、カルト集団「オウム真理教」や北朝鮮に最も親和的なTV局という認識があるので、ついいろいろなことを考えてしまう。もし本当に「犯人」からの犯行声明であるとすれば、自分の感情を代弁してくれそうなTV局に協力するのは当然だ。「犯行声明」の中には「警察が詳細を公開していない犯行予告の全文も添付されており、真犯人の可能性が高いとみられる」(読売新聞)らしい。

 「犯行声明」によれば、警察・検察をはめてやりたかった、醜態をさらさせたかったという動機が100%であったらしい。犯人扱いされた人は迷惑だが、今のところ警察は完敗で、自分たちの不勉強ぶりが白日の下にさらされてしまった。残念ながら現時点では「犯人」の目的は十二分に達成された。それにしても警察は新しい時代に取り残されているのではないか。この上は一刻も早く「犯人」を逮捕して、警察の汚名を返上してほしい。

 ただ、今回もっとも気になるのは、今年7月、横浜市のホームページに小学校を襲撃するなどと書き込んだとして明治大学生が逮捕された事件についても、「犯人」が「自分がやった」としていることだ。もし、これが本当なら大変な事だ。東京新聞のWEB版によると当初、大学生は犯行を否定していたらしい。

(記事引用)
神奈川県警、犯罪予告事件を検証 大学生逮捕めぐり
 神奈川県警は15日、遠隔操作ウイルスによる犯罪予告事件の犯行声明が届いたことを受け、横浜市のホームページに小学校襲撃予告を書き込んだとして威力業務妨害の疑いで逮捕した明治大学2年(19)の男子学生=保護観察処分=に対する捜査が適切だったかどうか検証を始めた。
 県警は7月1日、横浜市のホームページに6月29日、小学校の名前を挙げて「襲撃して皆殺しにしてやる」と自宅のパソコンから書き込んだとして学生を逮捕。学生はその後、家裁に送致され、保護観察処分となった。
 県警によると、学生は逮捕時「やっていません」と容疑を否認していたという。(東京新聞WEBより)

 「捜査が適切だったかどうか検証」を始めるのは当然として、PCのIPアドレスという「絶対的な証拠」を突きつけられたにもかかわらず否定したことに、警察は何も疑問を感じなかったのだろうか。この時勢である。ちょとした推理小説ファンなら誰しもその程度の疑問を抱くはずである。成りすましが日常的に行われている。相手を陥れるためのガセネタが飛び交っている。情報の受信者はよほど慎重にならなければいけない。が、最近でもiPS細胞(新型万能細胞)から作った心筋細胞を患者に移植したと発表した森口尚史氏の「虚偽報告」に読売新聞などの大新聞がものの見事にだまされた例がある。

 大阪と三重の件では「容疑者」にされた人が強く否定し、かつPCにウイルスの痕跡があったことで容疑は晴れたが、明治大学の学生は結果として「罪」を認めてしまった。真偽はまだ明らかではないが、「犯行声明」がもし正しいとすればこの学生は明らかに冤罪をかぶせられたことになる。そして警察は無実の人間に「冤罪」をかぶせたことになる。警察は、学生の名誉のためにも真実をはっきりさせると共に、もし誤認逮捕であるとわかれば「自白」へと導いた経緯を明らかにする責任から逃れる事は出来ない。

 大新聞や警察さえこのような状態だ。まして、信頼できる独自の調査機関を持たない私のような個人は丸裸同然だ。だからせめて警察発表や新聞発表を丸呑みにせず、あらゆる可能性を自分の頭の中で発酵させてゆく以外に方法はない。尖閣慰安婦問題など多量の情報があふれ出て、しかも信頼に値する情報が極端に少ない時代。せめてアジアの一部の国や大新聞や政治家の一部が流すデマゴーグやプロバガンダと、科学的で客観的な「事実」との違いだけは区別できる能力を持ちたい。だがはたして、それに効果的に対処する方法を我々は持ち得ているだろうか。