【団塊ひとり】パソコン遠隔操作事件の真犯人は?

 名古屋市の会社のパソコンが遠隔操作され、殺人予告が書き込まれた事件で、威力業務妨害容疑で逮捕されたIT関連会社社員のK容疑者が、捜査当局に取り調べの録画を申し入れたそうだ。警察は受け入れるべきだ。

 この問題はもしかしたら我々が思っている以上に大きな問題かも知れない。仮に真犯人が明らかになっても傷つくものは多い。犯人とされた被害者はもちろんだが、誤認逮捕した警察、そして警察情報を垂れ流して誤認逮捕を「追認」したマスコミとて無傷とはいえない。マスコミは「松本サリン事件」の教訓を忘れてしまったようだ。このままでは警察の威信をあざわらうという「犯人」の思惑通りに終わってしまう。

 現在逮捕されているIT関連会社社員のK容疑者は本当に真犯人なのだろうか。それとも「真犯人」の謀略に、警察はまたもひっかかったのだろうか。

 本来容疑者は容疑者であって被告ではない。この原則を外れると簡単に冤罪は生まれる。かぎりなく犯人に近いと思われていても、法治国家の日本では客観的な証拠を見つけない限り、短絡的に犯人と断定することには慎重であるべきだ。http://d.hatena.ne.jp/tukudako7/20121015/1350289264 …が、マスコミは容疑者の段階で名前だけではなく顔写真まで公開している。マスコミは今度こそ確証を得ているのだろうか。

 私はどちらかと言えば警察を信頼する方だ。いやしくも日本の警察だ。中国や朝鮮のような無法なことはしないだろうと思っている。しかし冤罪はなくならず警官の不祥事も多くなった。パソコン遠隔操作事件では無実の学生を「自供」させてしまった。いったいどうなっているのか。

 中国や朝鮮のような無法国家なら、国家ぐるみの犯罪、証拠隠滅、犯罪ねつ造は日常かも知れないが、日本の警察は彼等とは違う、違うはずだ。が、不祥事を起こした警官の名前の多くは報道されない。「自白」させられ犯人とされた学生を取り調べた警官がどうなったか、我々には何も知らされない。ここは本当に日本なのかという気になる。そして深く報道しないマスコミにも不信感を抱いてしまう。だから、ここは容疑者の言葉にしたがって取り調べの全面録画に挑んでみてはどうか。

 取り調べの全面可視化は、日本警察の能力が白日の下に示される危険性を併せ持つ。B級警察ドラマに見られるように、時には脅し、時には懐柔する手法が適用しにくくなるかも知れない。が、自供に頼り切るのではなく、科学的な証拠の積み重ねで犯罪を立証するという姿勢を確立する貴重な契機になる。

 ただ、犯罪者は巧妙だ。従って、日本も米国のように警察におとり捜査や司法取引を認めることも必要ではないか。怪しい人物においしい情報を持ちかける。そして取引が成立したらその現場を押さえる。アメリカの映画ではありきたりの手法だ。しかし現実に日本の会社はアメリカのFBIに何人もこの手で逮捕されている。悲しいことだが、おとり捜査の有効性は我々自身が身をもって体験したはずだ。この手法は中国や朝鮮の経済スパイの摘発にも有効だと思う。

 犯罪を誘発させるという批判があっても、警察のさまざまな縛りを合法的に解放することは必要だ。
今回のパソコン遠隔操作事件は単なる個人の犯罪なのか、外国の支援をうけた一種の謀略の一環なのか。警察は慎重に捜査して納得のいく結論を出してほしい。