【団塊ひとり】再び「純と愛」視聴率 何が悪いのか?

 野村元監督には名言が多い。「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし。」以前も書いたけれどhttp://d.hatena.ne.jp/tukudako7/20121108/1352395658 … NHK純と愛」の視聴率の低下をみると、本当にそう思う。

 「純と愛」では主人公の乱暴な言葉遣い、雑すぎる行動が問題になっている。周りの俳優に演技巧者がそろっているので余計にそう感じるのだろう。同じように朝ドラにしては乱暴な言葉遣いだった「カーネーション」。最初は随分批判が多かったが、あのドラマの視聴率が尻上がりになったのは、主演の演技力もさることながら、脚本がしっかりしていたからだ。もちろん架空の人物ではなく、著名なデザイナーが主人公だったことも影響しているかも知れないけれど。

 大河ドラマ平家物語」の低視聴率も役者のせいばかりではない。例えば忠盛が昇殿する場面。「平家物語」の「殿上の闇討ち」と比較すると、あまりにも脚本、演出が雑なのに驚いた人も多いはずだ。伝統をうち破ろうとしたのだろうが、あっさり返り討ちにあった。

 私の周辺では私以外もう誰も視聴しなくなった。妻は見向きもしない。私はNHKの朝ドラの伝統を壊す、と脚本家が言っているので、どう壊すのか楽しみにして、それだけを楽しみに見ている。が、いつまで待っても肩すかし。最近は吉本のお笑いに出てくるような筋立てになっている。実にイージー。吉本の喜劇ではずっこけ部分というメリハリがあってそれなりに納得できるが、それもない。

 確かに朝ドラの伝統からはますます離れてゆくのはわかるけれど、ちっとも新しい感じがしない。どこかのお笑いのパクリのようなシーン、思いつき、口から出任せのような発言や行動が多すぎる。安易にしてかつ無責任。

 伝統を壊すだけならある意味簡単。その意味では成功している。が、読者が期待したのは今までとは違った新鮮なドラマだ。まんねりを打破する新鮮な内容だ。その意味で「純と愛」は失敗。ドラマとして見るに堪えない。なにより朝ドラの視聴者をなめきったような脚本が不愉快。

 最後はなんとか感動ものに仕立て上げるのだろうが、今のところ朝からこんなドラマを送り込むNHKの責任は大きい。何よりNHKは受信料という税金を徴収する団体だ。公務員や議員が給料に合わない仕事をすれば批判される。NHKの責任はどうなるのか。猫が見ていても視聴率というなかで多くの人が惰性で視聴する恵まれた時間帯での低レベル番組。

 たぶん受信料収入が余りすぎて「純と愛」のようなドラマを作ったのだろう。美食家がたまにゲテ物を食べたくなる心境か。今まで多くの優秀作品を作ってきたNHK。朝ドラはある意味「水戸黄門」偉大なる「まんねり」で結構。次の朝ドラは、本道に戻りいい意味で「期待を裏切る」ような作品にしてほしい。

誰もが予想できなかった、レスリングの五輪からの除外。ぬるま湯に浸りきっているNHKも、突然大きな嵐が襲いかかるかも知れない。