【団塊ひとり】パク・クネは宋美齢になれるか?

 韓国で「放射能怪談」が拡散し、日本旅行のキャンセルが相次いでいる。「日本の国土の半分以上が高濃度の放射能に汚染されている」などのウワサも拡散している。ああ、またかという感じ。ここから韓国内での原発反対運動に発展すればまだ「大人」だが反日の次元で停滞するのが今の韓国。

 現場に出くわしたことはないが、在日の地域でヘイトスピーチが行われているそうだ。例によって自作自演の恐れもあるので、簡単には評論できない。が、最近の韓国の異常なまでの人種差別的な反日運動は、明らかに在日に不利だ。今の在日は本国の政治的な行動に翻弄される点で、戦争直前のアメリカにおける日系アメリカ人の立場に少し似ている。

 しかし、ヘイトスピーチに反対の人も、在日の人々が日本を、日本人をどう思っているのかを知りたいと思っている。そして、もし彼等の母国が日本を侵略したとき、あなた方はどちら側につくのか知りたいと思っている。今の状態では、侵略軍に加担して日本社会に牙をむくのではないか、と日本人が思い、憂うのは自然である。

 かつてアメリカの日系人が迫害されたとき、日系人は第442連隊戦闘団( 442nd Regimental Combat Team)に志願して日系人の地位を認めさせるために、アメリカの為に闘った。そして、第442連隊戦闘団は多大な犠牲を出し、アメリカ合衆国史上もっとも多くの勲章を受けた部隊になった。日系人の現在の地位はその代償である。

 ただ、日系アメリカ人は日本人ではなくアメリカ人である。彼等はアメリカ人として生きることを選択した人たちだ。だからアメリカに忠誠を尽くすのは当然だ。が、「在日」は日本人ではないので、日本の為に生命をかける義務は無い。だから日本人は思うのだ。ほとんどが本国の弾圧を逃れて、密航によって日本にやってきたのに、また帰国事業があったのに本国に帰る機会があったのに本国に帰らなかったのはなぜなのだろうかと。未だに「強制連行の結果」と平気で嘘をつくのはなぜか。日本人の在日に対する不信は強い。

 しかし、もしかしたら、在日を対象とするヘイトスピーチは、対象を見間違えているのかもしれないと思うこともある。ある意味で「在日の一部」は、彼等の本国の、日本人に対する人種差別政策によって引き起こされた反感を、引き受けなければいけない「被害者」の立場に置かれているのかもしれない。もちろん、在日の中にも生粋の反日主義者や工作員もいるだろうけれども。だから、本国の行動に賛同している限りその疑いは晴れないだろう。

 だが。韓国内で反日運動がいくら活発になっても、それは無視しておけばすむことだ。問題はアメリカ国内で広がりつつある、韓国系アメリカ人が主導する不条理な反日活動だ。すなわち歴史的根拠のない慰安婦像の設置だ。この設置に対して、我慢強い日系アメリカ人がようやく抗議の姿勢を見せ始めた。自らの過去の経験に基づく抗議だ。

 戦前のアメリカの日系人は、人種差別主義的なルーズベルト大統領の発布した大統領令9066号(United States Executive Order 9066)によって強制収容所に隔離された経験を共有している。それがどのような種類のものであったかは、ユダヤ人収容所の写真と比べると分かる。

 日系アメリカ人の収容所とユダヤ人収容所。名前を伏せられた写真だけでは両者を識別することは困難だ。その理由は両者の間に、人種差別という共通の思想が流れているからだ。日系アメリカ人が立ち上がらねばならないと感じたのは、慰安婦像設置活動に日系人や日本人への人種的な悪意を感じとったからだろう。

 歴史に「if」はないという。が、もし日英同盟が存続していたら、日米戦争はなかったかも知れない。その日英同盟の廃止に熱心だった国は、中国とアメリカだ。当時の両国にとって日英同盟は日本との戦争の障害でしかなかったからだ。

 日英同盟が消失した後、蒋介石は妻の宋美齢アメリカに送り、ルーズベルト大統領に働きかけた。表面は平和主義者を装い、その実日本の権益を奪うための戦争を起こしたかったルーズベルトにとって宋美齢の提案は魅力的だったに違いない。それに気づかないまま日本軍部は真珠湾攻撃に走り、中国の思惑通りアメリカに参戦のきっかけを与えてしまった。

 もしかしたらパク・クネは宋美齢と自分を重ね合わせているのかも知れない。アメリカと日本を離間させ、自分がアジアの盟主になろうと企てているのかも知れない。が、この試みは失敗する。第一に戦前と違って日米関係は良好だ。第二に人種差別的なルーズベルトと違って、アフリカ系アメリカ人として様様な事柄を体験したオバマ大統領はパク・クネの人種差別的な策謀には乗らないからだ。そして、なにより宋美齢の中国に対して、パク・クネの韓国はあまりにも小国すぎる。

 日系人に対する強制収容とアフリカ系アメリカ人に対する公民権運動に対する抑圧は同根だ。強制収容の経験を持つ日系アメリカ人は、慰安婦像建設にそのニオイを感じ取った。だから彼等は立ち上がったのだ。日本政府や日本人は積極的に応援すべきだ。そしてアメリカ人に過去の記憶を思い起こさせ、戦前のような日本人排斥運動に発展しないように努力すべきだ。

 パク・クネの「涙ぐましい努力」にも関わらず、私は日米関係はますます強固なものになると信じている。アメリカは日本を捨てて韓国を選ぶことはしない。又、中国も最終的には日本を捨てて韓国を選ぶという愚かなことはしない。結局、パク・クネは宋美齢と異なり、米中に二股をかけて失敗した「××女」として嘲笑の対象になるだけだ。

 オバマ大統領は新しい日本大使としてケネディ家の女性を起用した。ケネディ氏の赴任は日本に勇気を持たせ、韓国は嫉妬するだろう。ケネディ家の一員の大使赴任は、ケネディびいきの日本国民に対するオバマ大統領の強いメッセージだと思う。

 日本の政治家は発言に気をつけて、日米両国の友好の足を引っ張らないように注意してほしい。

PS この小文を書き終えた後、沖縄県宜野座村の米軍基地キャンプ・ハンセン内の山中に米空軍のヘリコプターが墜落した。この大事なときに、いったい何をしているのだろう。