【団塊ひとり】 自民党の石破幹事長の「アジア版NATO」の構想を歓迎する。

 オランダ・ハーグの在オランダ米国大使公邸で日米韓の三者「会談」が行われた。阿倍首相は「お会いできてうれしい」と韓国語で朴大統領にあいさつするなど、大サービスだったが韓国人にはむしろ日本の弱さと受け止められただろう。おそらく空振りに終わってしまう。が、日本の姿勢を世界に示したと言う点では大きな成果だ。一方的に拒否しているのは韓国だというイメージを流布させることは大切だ。

 本来は高度な政治的な会談になるはずなのに、なんとなく高校でよく実施される三者「懇談」に似ていてなんだか複雑な気になった。アメリカという教師に呼び出されたのは誰か。いずれにしろ会うことがまず関門だったので、意義はあったのだろうが実質的な面では高校生の「三者懇談」よりも成果は薄かったかも知れない。

 韓国の朴槿恵大統領があいかわらず各地で「日本は戦後ドイツの歩みに学べ」と叫んでいる。彼女の存在理由は「世界の中で反日をさけぶ」ことしかないのだから必死だ。もしわずかでも阿倍首相に歩み寄る気配を見せれば、朴槿恵の政治的生命は終わる。マスコミは大騒ぎするだろうし、野党勢力はチャンスとばかりに大統領を責めまくるだろう。芽を摘み取ろうとして大鎌をふるおうとしても、下手をすれば鎌で手を切るかも知れない。が、これも自分でまいた種なのだから、自ら刈り取るしかない。日本は静観しておればいい。

 冷静に判断すると「戦後ドイツの歩みに学べ」という朴槿恵大統領の主張は、自民党の石破幹事長の発言に似ていることに気付く。朴槿恵は阿倍首相とは相性が悪くても、石場幹事長には親しみを感じるらしい。

 石破幹事長は、「これからは日米だけではなく、東南アジア各国などとも相互防衛の関係を結び、将来的には『アジア版NATO』のような機構をつくることを考えていかなければならない」と述べたという。(NHKウェブサイト配信記事より)

 戦後ドイツはNATOという枠組みに加わり、その中で信頼を築き再軍備を果たし普通の国家になった。集団的自衛権に関して阿倍首相は、同盟国アメリカが攻撃された場合日本は・・という論を展開するが、中国が嫌がっているのは台湾やフィリッピンベトナムなどと日本が同盟を結ぶことだ。

 かつてNATOは「アメリカを引き込み、ロシアを締め出し、ドイツを抑え込む」同盟だった。が、世界情勢の変化によってドイツの再軍備の有利性が認められ、ドイツがNATOに加盟することによって世界の安定が図られることになった。NATOは「アメリカを引き込み、ロシアを締め出す」同盟に変化したのだ。こうして戦後ドイツの再軍備は日本よりも半世紀近く前に西欧諸国により認知された。

 阿倍首相はアメリカとの同盟のみを突出させ集団的自衛権を語っているが、むしろ石破幹事長のように『アジア版NATO』を作る方向に向けば、ドイツと同じように日本の再軍備も容認されやすいと思う。しかも「ドイツに学べ」と主張する韓国の援護射撃にも沿っていて、問題は生じにくい。ただ発言と裏腹に韓国は中国にすり寄っている。今のままでは韓国がアジア版NATOに加盟できる資格があるとは思えない。

 民主主義を遵守するという常識的な基本を考えれば『アジア版NATO』は「アメリカを引き込み、中国を締め出し、××を抑え込む」という形になろう。問題は××にどの国が想定されるかということだ。基準は西欧的な民主主義の概念を有しそれに従って行動できる国になろう。自ずと脱落する国は明確になるはずだ。××に北朝鮮が含まれることは確実だが、米中に二股をかけ、北朝鮮と同じ民族的DNAを共有する韓国を排除できるか否かがこれからの課題になろう。