【団塊ひとり】東京マラソンの成功、そして与那国住民投票で陸自配備賛成という結果

 東京マラソンが無事終了した。ムハンマドの風刺画を掲載した出版社や書店などに対するテロもなかった。 かつて「悪魔の詩」を翻訳した大学教授が、なすすべもなく日本の大学構内で殺害された事実もある。欧米では「悪魔の詩」を翻訳した人間を、国家全体が守ろうとした。が、その欧州でもテロ被害に遭った。

 ISILなどのテロ集団から見れば、自分たちのプロバガンダ映像を垂れ流してくれ、世界も注目する日本で活動することは、勢力を世界に誇示できる絶好の機会になる。テロの発生を心配したが、幸い今回は杞憂に終わった。むやみに恐れる必要はないかもしれないが、日本だけは大丈夫、日本人は襲われないという時代が過ぎてしまったことは意識しなければならない。

 東京マラソンばかりに目が行くが、実は南の島「与那国島」で重要な住民投票が行われた。「自衛隊基地建設」の民意を問う住民投票だ。投票結果に法的拘束力がないとはいえ、今回の住民投票では、永住外国人も含む中学生以上の町民が投票資格を有する。

 国防という重要な政策決定に、「外国人」が関与することは大きな問題であり、その投票行動と「憲法」および国防との関連は厳しく論じねばならないだろう。単なる地方都市の問題と片付けることは出来ない。

 敗戦直後の1949年、与那国町長選挙では与那国の帰属が争点になった。3人の立候補者の一人は日本帰属論、一人は琉球独立論、もう一人は台湾帰属論を展開した。その結果日本帰属論者が選ばれ現在に至っている。(後藤明著「海から見た日本人」講談社より)

 与那国島の歴史は複雑だ。与那国島は16世紀に「琉球王朝」の支配下に組み込まれるまで「独立国」であった。やがて、その琉球が薩摩の支配下に入る。そして、1879年の琉球処分と共に与那国島も近代日本に帰属することになった。与那国島や沖縄を論じるとき、「日本人」は島民の持つ複雑な感情を理解できているのだろうか。

 「琉球処分」から1世紀を過ぎたのに、今でもその不当性を訴え、琉球独立を求める勢力がいる。主観を排すれば、「沖縄」の立場はアメリカの「ハワイ」と似ている。かつての「独立国家」ハワイも武力によってアメリカに編入され、アメリカの州となった島だ。

 当時、アメリカ軍侵攻の危険を感じたハワイのカメハメハ王朝が、明治政府に援助を求めたことは有名だ。近代化が始まったばかりの日本にはその力はなく、申し出は受けることが出来なかった。もし、明治政府に圧倒的な軍事力があり、ハワイを守っていたらハワイがアメリカ領になることはなかったかもしれない。

 歴史は理不尽だ。結局、武力のないものは制圧され独立を奪われる。が、いま「ハワイ独立」を主張する日本人はいない。しかし、日本では明らかなアナクロリズムにすぎない、与那国島や沖縄の独立を説く人間がいる。が、その根底にあるのは中国の意向だ。彼らの頭の中にあるのは「琉球独立=中国編入」という図式だ。信用が出来ない。

さて、与那国住民投票は即日開票の結果、「賛成」が632票で「反対」の445票を上回った。結局陸自配備賛成が多数で終わった。「順調にいけば、日本最西端の町に2016年3月、初めて自衛隊が配備される。」(毎日新聞)「中国の反発も予想される」(毎日新聞)だろうが、中国の軍備増強などの現実を踏まえた日本人の、健全な選挙結果としてこれを歓迎したい。