【団塊ひとり】届かなかったケネディ大統領のメッセージとキャロライン・ケネディ氏の役割

 私が高校生の時だった。昭和38年(1963年)11月23日の早朝、日米初のテレビ衛星中継が実施されるというので、私は朝早くから起きてブラウン管にへばりついていた。ケネディ大統領が日本国民に発するメッセージを待っていたからだ。が、第一報は大統領の暗殺だった。あのときの衝撃は未だに鮮明におぼえている。

 キャロライン・ケネディ氏(Caroline Bouvier Kennedy)が父親の故ケネディ大統領(John Fitzgerald "Jack" Kennedy)の遺志を継いで、日米の絆になりたいと抱負を述べた。大使に正式決定されるのも時間の問題だ。一刻も早く赴任されることを望む。アメリカの地方都市で中国系・朝鮮系アメリカ人により慰安婦像が設置されるなど、反日的な動きが発生している中、連邦政府の日本国民への明確な意思表示だ。尖閣で中国の不穏な動きが、活発化している中、誠に良いタイミングだ。

 日本人はケネディ家が好きだ。キャロライン・ケネディ氏の赴任は、日本国民の好意で受け止められるだろう。日米関係は、中国や韓国の日米離間の策略を超えてますます進展するだろう。

 蒋介石(Chiang Kai-shek)が試み、見事に成功した故実の再現を狙って、パク・クネが宋美齢(Madame Chiang Kai-shek)の真似をしている。しかし、日本とアメリカの間にくさびを打ち込もうとしてアメリカ議会で演説までしたが、オバマ大統領は乗らず空振りに終わっている。中国にも二股かけたが、宗主国中国はパククネに特別待遇を与えなかった。

 パククネはアメリカを自分の前を歩く虎に仕立てようとし、中国を自分を庇護する存在に仕立て上げようとした。小国として生き延びるために、やむを得なかったのだろうが、果たして両大国がその手にのるだろうか。一歩間違えばロシアに助けを求めて、その結果日本に併合されてしまった過去の歴史の再現になる。もっともこの場合は中国と北朝鮮による「併合」であるが。

 キャロライン・ケネディ氏は、中国と韓国のような「宗主国」と「従属国」という関係ではなく、日本とアメリカの絆になりたいと述べている。不平等な日米地位協定(U.S. - Japan Status of Forces Agreement、SOFA)の存在など、日米間の課題は多いが、その言葉を信じたい。

 日米関係がますます親密さを持つのに較べて、中国や韓国とはこれから数年間は冷戦の時代が続くだろう。アメリカが未来を踏まえているのに対して、中国や韓国はこれからも「過去」に閉じこめられて身動きできないからだ。阿倍首相は対話を求めるべきだが、同時に相手を見て行動すべきだ。フリーズ状態の国家にこちらからアクセスする必要は無い。無理をすれば第二の河野洋平になり、さらなるトラブルが降りかかる。それは絶対に避けるべきだ。

 口を開けば日本はドイツに学べというパク・クネ。そのドイツはとっくに国家を統一したが、いまだに国家統一のきっかけさえつかめない韓国の状況が恥ずかしくないのだろうか。他人を攻撃したり、大国にすがれば自分たちの惨めさが覆い隠されると思う精神の稚拙さが哀れだ。

 銭江晩報が「尖閣諸島は古来、中国固有の領土で、中国の飛行機が付近を飛行することは合法であり、日本があれこれ言う資格はない」と切り捨てた。なるほど。では「中国固有の領土」という尖閣諸島に英雄的な人民解放軍の兵士が一人もいないことをどう説明するのか。

 中国があれこれ言うのは、結局、尖閣諸島無人島の状態になっているからだ。すでに設置されてある灯台を海図に載せ管理し、公的機関の人間を配置しておけば風向きは変わってくるはずだ。

 日本は、自分たちの国家目標をもっと世界に発信すべきだ。その為に、オリンピックのプレゼンテーションのような優れた広報活動も必要だ。ケネディ大使の赴任がその機会になる事を期待する。